2020年7月6日月曜日

【文献検索ヘルプデスク】PMCに新型コロナウイルスに関するプレプリントが収録されました

PMC(米国国立医学図書館(NLM)が運営する,無料の論文アーカイブサイト)に,
新型コロナウイルスに関するプレプリント*が収録され,PubMedでも検索できる
ようになりました。
これは,NLMのプレプリントの利用に関する試行プロジェクト,
"NIH Preprint Pilot"によるものです。
現在は,プロジェクトの第1段階にあたります。新型コロナウイルスに関する
出版物やプレプリントをまとめた"iSearch COVID-19 Portfolio"のうち,
著者がNIH所属,またはNIHから支援を受けている研究のプレプリントが
PMCに収録されています。

・プレプリントの見分け方
 プレプリントは,PubMedの検索結果の画面では,DOIの後ろに
 "Preprint"と表示されています。
 詳細表示画面では,上部に"This article is a preprint"という
 緑色のサインが表示されます。
 タイトル上部には,査読前の論文のため,収録雑誌名ではなく
 掲載されているプレプリントサーバー名が記載されています。
 現在PubMedで検索できるプレプリントは全てPMCに収録されているため,
 "PMC Full text"アイコンより無料で閲覧可能です。

・PubMedでの検索について
 プレプリントは,「preprint[pt]」という検索式を使用するか,
 検索結果画面のフィルターでArticle typeを「Preprint」に絞り込むことで
 検索することができます。
 検索結果からプレプリントを除外したい場合は,「Advanced Search Builder」で
 任意の検索式と「preprint[Publication Type]」をNOTで掛け合わせて検索します。
 詳しくは,PubMed【東邦版】の使い方をご覧ください。

 *プレプリント:査読を通過する前の論文のこと。プレプリントをアップロードし
        公開するためのインターネット上のサーバーを「プレプリント
        サーバー」と呼びます。
        今回収載対象となった"iSearch COVID-19 Portfolio"には,
        新型コロナウイルスに関する論文の多いプレプリントサーバー
        (medRxivbioRxivChemRxivarXivResearch Square
        SSRN)にアップロードされたプレプリントが収録されています。
        プレプリントの公開は,論文投稿後迅速に研究成果が共有できる,
        世界中の研究者が無料で論文を閲覧できる,著者が研究の先取性を
        確保できるなどのメリットがあります。一方で,原稿の質の確認を
        行うことが難しいという課題もあります。